杏 姫

杏 姫  室生 犀星

杏の実れる枝を提げ

髫髪(うない)少女の来たりて

たびびとよ杏を召せ

杏を食べたまへとは言へり。

われはその一枝をたづさへ

洋館の窓べには挿したり。

朝のめざめも麗はしや

夕べ睡らんとする時も臈たしや

杏の実のこがねかがやき

七人の少女ならべるごとし

われは旅びとなれど

七人の少女にそれぞれの名前を称へ

七日のあひだよき友とはなしけり。

あはれ奉天の杏の

ことしも臈たき色をつけたるにや。

fire opal
ruby
melee diamond
pt900 pendant